今回ご紹介するデータは「令和7年版労働経済白書」
第Ⅱ部 第2章 のテーマは
「社会インフラを支える職業の人材確保に向けて」
白書では、人手不足がみられ、
安定的な人材確保が求められる
「社会インフラを支える職業」を
・医療・保健・福祉グループ:命に関わる仕事
・保安・運輸・建設グループ:物流・インフラに関わる仕事
・接客・販売・調理グループ:日々の生活に関わる仕事
の三つの職業グループに分類
第1節 社会インフラを支える職業が直面する人手不足の現状
第2節 社会インフラを支える職業の特徴
第3節 社会インフラを支える職業の人材確保に向けて
の構成でさまざまな角度から分析を行っています。
概要は以下の通りです
【新規求人数の推移(第2-(2)-2図)】
白書では2024年の動向について以下をコメントしています。
■社会インフラ関連職は相対的に高い需要がある
「社会インフラ関連以外の職種(以下「非社会インフラ関連職」)の約1.25倍
■「医療・保健・福祉グループ」・「保安・運輸・建設グループ」は
感染症の拡大後の2020年に大きく減少したが、2024年は2019年の水準に戻りつつある
■「接客・販売・調理グループ」は、2020年に大きく減少。
2024年においても2019年の水準を大きく下回っている。
■求職者数に着目すると、社会インフラ関連職の新規求職者数は、
2024年で非社会インフラ関連職の約4割にとどまり、相対的に労働力供給が弱い
※第2-(2)-3図コメントより
【就業者数の推移(職業グループ別)(第2-(2)-6図)】
社会インフラ関連職 三つのグループ
就業者数の推移について、白書では以下をコメントしています。
■医療・保健・福祉グループ 第2-(2)-6図(1)
・2024年で女性が男性の約2.5倍、男女ともに緩やかな増加が続いている
■保安・運輸・建設グループ 第2-(2)-6図(2)
・2024年で男性が女性の約8倍と大きく偏りがみられる
・女性就業者数は緩やかに増加傾向、男性就業者数は2020年以降減少傾向
■接客・販売・調理グループ 第2-(2)-6図(3)
・2024年で女性が男性の約1.7倍
・男性・女性の就業者数ともに、2020年に大きく減少
・女性就業者数の落ち込みが大きく、現在も2019年の水準を大きく下回っている
白書では
・社会インフラ関連職はグループごとに性別構成に偏りがみられる
・「保安・運輸・建設グループ」では男性就業者数の減少が顕著
と結んでいます
【正規雇用労働者比率・雇用形態別雇用者数の推移(職業グループ別)(第2-(2)-8図)】
正規・非正規の雇用形態の違いに注目した傾向について、
白書では以下をコメントしています。
■医療・保健・福祉グループ 第2-(2)-8図(1)
・正規・非正規雇用労働者数ともに増加
・正規雇用労働者数の増加が非正規雇用労働者数の増加を上回り、
近年では正規雇用労働者比率も緩やかに上昇。
■保安・運輸・建設グループ 第2-(2)-8図(2)
・正規・非正規雇用労働者数のいずれも近年緩やかに減少
・正規雇用労働者比率はほぼ横ばい。
■接客・販売・調理グループ 第2-(2)-8図(3)
・正規雇用労働者数より非正規雇用労働者数が多く、
正規雇用労働者比率は低くなっている。
・正規雇用労働者数はおおむね横ばいで推移
非正規雇用労働者数は2020年に減少した後は増加傾向
白書では
・社会インフラ関連職は、非社会インフラ関連職と比較して正規雇用労働者比率が低く、
・今後、必要な人材を確保していくためには、希望する労働者の正規雇用化を進めるなど、
必要に応じた雇用形態における処遇の改善が重要
と結んでいます
【年齢構成比の変化(職業グループ別)(第2-(2)-10図)】
三つのグループの若年層の参入状況など年齢構成の変化について、
白書では以下をコメントしています。
■医療・保健・福祉グループ
・他のグループと比較して、全年齢に占める65歳以上の割合は低いものの、上昇傾向がみられる
・これにより同グループにおける就業者の高齢化が進行していることがうかがえる
■保安・運輸・建設グループ
・他のグループと比較して全年齢に占める65歳以上の割合は高くなっており、
2024年には約17%に達している
■接客・販売・調理グループ
・65歳以上の割合が年々上昇している
・2015年に最も割合が高かった35~44歳の層を、若年層である15~24歳の割合が徐々に上回り、
2024年にはこの15~24歳が最も高い割合を占めるように推移
【社会インフラ関連職の仕事の価値観(第2-(2)-19図)】
白書では以下をコメントしています。
■社会インフラ関連職の仕事への満足度 [第2-(2)-19図(1)]
「奉仕・社会貢献」・「良好な対人関係」・「達成感」・「自律性」といった項目の
スコアが、非社会インフラ関連職よりも社会インフラ関連職の方が高い傾向
■職業グループ別の仕事への満足度 [第2-(2)-19図(2)]
・「医療・保健・福祉グループ」では「奉仕・社会貢献」「達成感」
・「保安・運輸・建設グループ」では「達成感」「自律性」
・「接客・販売・調理グループ」では「良好な対人関係」「達成感」
で高いスコアが示されている
※ここでの「仕事の価値観」は、厚生労働省が運営する「職業情報提供サイト(job tag)」で
提供される仕事価値観に関わる10項目のスコアを活用したもの
ここまでの図表出典:令和7年版 労働経済の分析
第Ⅱ部 第2章 社会インフラを支える職業の人材確保に向けて