”パートさんの契約の条件明示が変わるらしい”との情報が。
10月26日付けのことです。
厚生労働省労働基準局長から
各都道府県労働局長宛に一通の通達が発行されました。
※ちなみに、豆知識。
行政通達は、以下の3種類があります。
① ”基発”・・・厚生労働省労働基準局長から各都道府県労働局長宛の通達。
② ”発基”・・・厚生労働省事務次官から各都道府県労働局長宛の通達。
③ ”基収”・・・各都道府県労働局長からの法令の解釈に疑義についての
問い合わせに対する厚生労働省労働基準局長による回答。
今回、ピックアップするのは、①のカテゴリに分類される通達からの情報です。
「期間の定めのある労働契約」
=パートさん、契約社員とか 雇用期間の定めのある契約をこう呼びます。の契約時に関係する内容とか。
細かい内容について、さっそく大阪労働局監督課に電話取材・インタビューをしました。
1.どこが改正されるのですか???
労働基準法第15条第1項※1.※2.に関する事項です。
今回改正は、具体的には労働基準法施行規則第5条
ご参考(※1.※2.が書かれている箇所)
(労働条件の明示)
第15条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間
”その他の労働条件(※1)”を明示しなければならない。
この場合において、賃金及び労働時間に関する事項
”その他の厚生労働省令で定める事項については、
厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。(※2.)”
2.どう変わるのですか???
契約更新がある場合に
「更新の基準」が明示する事項に追加されます。
そして、この「更新の基準」ですが、
労働契約の締結時に契約期間とともに、
「書面の交付」によって明示しなければならない「労働条件」となるんです。
3.なぜ、改正されることになったのですか???
法律の改正には、”趣旨”というものがあります。
有期労働契約の継続・終了について
・ 予測可能性
・ 納得性
を高め
・ 紛争の防止につなげるため
のものです。
つまりは、
更新するか? 更新できるのか?を契約時点で、
はっきりと書面で示してくださいということです。
以前から、こういった類のトラブルが多いです。
4.具体的にはどういう内容の”基準”が必要なのですか???
「更新の有無」と
「契約更新の判断基準」が必要になります。
例えば
「更新の有無」については、
・ 自動的に更新する
・ 更新する場合があり得る
・ 契約の更新はしなし
「契約更新の判断基準」としては、
・ 契約期間満了時の業務量により判断する
・ 労働者の勤務成績、態度により判断する
・ 労働者の能力により判断する
・ 会社の経営状況により判断する
・ 従事している業務の進捗状況により判断する
などが考えられるので、例示しています。
また、契約更新の基準については、会社の事情があるので、
「その他」を設けていますが、
”なんでもあり”という意味ではないです。
”社会通念上妥当”な基準を設けてください。
※「モデル労働条件通知書」は厚生労働省HPでご覧いただけます。
↓
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/meiji/dl/h241026-2-betten.pdf
5.「労働条件になる」ということはどういうことなのでしょうか???
この基準が契約内容に書かれていない。
または、適法なものではない場合。 その場合には
労働基準法15条違反になる。
ということです。
つまりは、
罰則の適用(労働基準法120条:30万円以下の罰金)
がありうるということです。
ただし、この基準が書かれていないといってもただちに、その契約の
効力が無効になるという訳ではありませんが。
そして、もうひとつ。
「更新の基準」を変更する場合にも、
労働者との合意その他の方法で、適法に変更されること。
が必要となります。
6.平成25年4月1日までにやっておくことはどういうことでしょうか???
4月1日をまたぐ契約更新がある場合には、
事前に準備されておられるほうがよいですね。
今のこの時期に通達がでていますので。
以上のご回答でした。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
みなさまのご参考になれば幸甚です。
では、また。
※本コラムは、大阪労働局 監督課 担当者様に取材・インタビューをさせて頂き、
記事として掲載しております。