本調査で「能力要素」調査の基礎となった
経済産業省が提唱する「社会人基礎力」とは
以下の3つの能力/12の能力要素で構成されています。
1. 「前に踏み出す力(アクション)」
(1) 主体性(物事に進んで取り組む力)
(2) 働きかけ力(他人に働きかけ巻き込む力)
(3) 実行力(目的を設定し確実に行動する力)
2. 「考え抜く力(シンキング」
(1) 課題発見力(現状を分析し目的や課題を明らかにする力)
(2) 計画力(課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力)
(3) 創造力(新しい価値を生み出す力)
3. 「チームで働く力(チームワーク)」
(1) 発信力(自分の意見を分かりやすく伝える力)
(2) 傾聴力(相手の意見を丁寧に聴く力)
(3) 柔軟性(意見の違いや立場の違いを理解する力)
(4) 情況把握力(自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力)
(5) 規律性(社会のルールや人との約束を守る力)
(6) ストレスコントロール力(ストレスの発生源に対応する力)
1.2.に比して3.の能力要素は全体の半数に及んでおり、提唱する
「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」の
重要な要素であることがうかがえます。
たとえば、
・主体性がある方
・実行力がある方
・課題発見力がある人
・創造力がある人
企業の新卒採用ページ・就活求人サイトを眺めてみると
「求める人材像」として、このような求人フレーズを多々見受けますが
経産省が提唱する「社会人基礎力」と照らしてみると
1.2.に関する能力要素の情報発信が厚めで、
3.の能力要素が薄めな傾向がうかがえます。
そのうち、上記でご紹介した新入社員と企業の能力要素のギャップが一番高かった
「規律性(社会のルールや人との約束を守る力)」には、
企業独自の「会社・職場の規律/暗黙の了解」な要素、
入社前後の研修だけではフォローしきれない
社風や職場の雰囲気の根底を流れる規範意識・仕事観・文化も
含まれると捉えることもできます。
これを新入社員側からみると
「"入社後に実感する"社風、職場の雰囲気」の重要なファクター
「入社前に聴いた話」と「入社後に体感した現実」のギャップに
"リアリティショック"を感じ、早期離職のトリガーと
なる要素と捉えることもできます。
また「主体性(物事に進んで取り組む力)」についても
企業側の期待ほど、新入社員側では意識していないことは、
採用/入社後のギャップとして、早期離職のリスク可能性がある
能力要素との見方もできます。
「自社で言う/定義する"主体性"とは、具体的に何か/なにを求めるか」
「自社で言う/定義する"規律性"とは、具体的に何か/なにを求めるか」
フォーカスがぼやけしまった、
よくある"当たり障りのない求人フレーズ"では
その情報を受け取る就活生もイメージできず、
却って、入社後に「こんなはずじゃなかった」な
ミスマッチ感から早期離職のリスクファクターとなる
求人情報/フレーズと言えます。
就職先の会社を決める際に重視する
「社風、職場の雰囲気」などの
付加/補足情報としてでも、
「従業員/メンバーとして求める基礎力」を
しっかりと・ていねいに伝えておきたいところです。
開業以来10年にわたり
本連載コラムや「求人票の書き方セミナー」等で
機会に繰り返しお伝えしているように
「求人とは、集客。」
「求人票も、広告。」
です。
広告がそうであるように求人情報も
「伝えなければ、伝わらない」ことは同じです。
採用ページも、求人コンテンツも、求人票も
書き方・伝え方次第でその印象はガラリと変わります。
みなさんは、どんな言葉/表現で
だれに・なにを・どう伝えますか?