■令和4年度厚生労働省第二次補正予算案の対象となった助成金
今般の予算案は、本連載コラムでも以前ご紹介した
厚生労働省による
~「賃上げ・人材活性化・労働市場強化」雇用・労働総合政策パッケージ~
を反映
第二次補正予算案で具体的に拡充・創設等がラインアップされた
助成金制度とその趣旨は以下の通りです。
(1) 業務改善助成金:最低賃金引上げへの対応を支援
(2) 働き方改革推進支援助成金:生産性向上に向けた取組を支援
(3) 人材開発支援助成金:企業内における事業展開等に伴う労働者のスキル習得を支援
(4) キャリアアップ助成金:非正規雇用労働者の処遇改善
(5) 特定求職者雇用開発助成金:就職困難者の人材育成の推進
(6) 産業雇用安定助成金:賃金上昇につながるスキルアップを目的とした在籍型出向を支援
(7) 労働移動支援助成金:賃金上昇を伴う早期再就職を支援
(8) 中途採用等支援助成金:賃金上昇を伴う中高年齢者の中途採用の拡大を支援
(9) 産業保健関係助成金:労働者の健康促進支援
図表出典:厚生労働省 令和4年度厚生労働省第二次補正予算案のポイント
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以下、令和4(2022)年12月から見直しの概要を順にご紹介致します。
(1) 業務改善助成金:2022年12月12日から
今回の改正では
・「事業場規模30人未満の事業者」への助成上限額の引き上げ
・「特例事業者」に対する助成対象経費の拡大
・事業場規模を100人以下とする要件の廃止
の見直し・改定が行われ
申請期限も令和5(2023)年5月31日まで延長されています
・助成上限額の引き上げ 「事業所内最低賃金の引き上げ」30円コースから90円コースの全てで
「事業場規模30人未満の事業者」に対する助成上限額の見直し

・助成対象経費の拡大
拡大対象となる「特例事業者」とは、
① 事業場内最低賃金920円未満の事業場」で
以下①・②に該当する事業場
② 新型コロナウイルス感染症の影響により
・売上高や生産量などの事業活動を示す指標の
・直近3か月の月平均値が
・前年、前々年または3年間の同じ月に比べて
・15%以上減少した事業者
③ 原材料費の高騰など社会的・経済的環境の変化等外的要因により、
・申請前3か月間のうち任意の1か月の利益率が
・前年同月に比べ3%ポイント以上低下した事業者
下表の経費等が助成対象に拡大されています。
図表出典:厚生労働省 リーフレット「業務改善助成金(通常コース)のご案内」
(2) 働き方改革推進支援助成金:2022年12月12日から
本改正の対象となるコースは
・働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)
・働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)
・働き方改革推進支援助成金(労働時間適正管理推進コース)
の3つ
・常時使用する労働者数が30人以下の事業主が
賃金引上げを達成した場合の加算額の増額
・労務管理担当者・労働者に対する研修に係る
助成対象経費の上限額を増額
などの改定が行われています。
図表出典:厚生労働省 リーフレット
働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)のご案内(2022年12月12日付)
(3) 人材開発支援助成金:2022年12月02日から
本助成金では、新コースの創設と制度改正が行われています。
◆ 事業展開等リスキリング支援コース:創設
本コースは、企業の持続的発展のため
・新製品の製造や新サービスの提供等により新たな分野に展開
・デジタル・グリーンなど成長分野の技術を取り入れ業務の効率化等を図る
ため
① 既存事業にとらわれず、新規事業の立ち上げ等の事業展開に伴う人材育成
② 業務の効率化や脱炭素化などに取り組むため、デジタル・グリーン化に
対応した人材の育成
に取り組む事業主を対象に、
「訓練経費」や「訓練期間中の賃金の一部」を高率助成により支援する制度
1事業所1年度あたりの助成限度額を1億円に設定しています。
図表出典:厚生労働省 リーフレット
人材開発支援助成金に事業展開等リスキリング支援コースを創設しました。
◆ 人への投資促進コース:改正
本コースでは4つの項目で助成内容を見直し
このうち、
1事業所が1年度に受給できる助成限度額については、
従前の1,500万円から2,500万円へと引き上げています。
各訓練コースの見直し内容については、
下記【出典・引用】のURLからご確認ください。
図表出典:厚生労働省 リーフレット
人材開発支援助成金(人への投資促進コース)の助成率を引き上げるなど制度の改正を行いました
(4) キャリアアップ助成金:2022年12月02日から
本助成金では、2つのコースで制度改正が行われています。
◆ 正社員化コース
人材開発支援助成金の特定の訓練を修了した後に
正社員化した場合に、助成金額が加算されます
また、加算対象となる訓練には上記(3)で新設された
「事業展開等リスキリング支援コース」も含まれています。
(加算対象となる人材開発支援助成金の訓練コース)
事業展開等リスキリング支援コース
特別育成訓練コース
人への投資促進コース
特定訓練コース
◆ 賃金規定等改定コース
下表の通り、1人当たりの助成金額の拡充のほか
1事業所あたり1年度1回の申請制限を撤廃
1年度1事業所あたり100人までは複数回の申請が可能とのことです。
図表出典:厚生労働省 リーフレット
「『キャリアアップ助成金』が使いやすくなりました!」
見直し内容の詳細については、
下記【出典・引用】のURLからご確認ください。
(5) 特定求職者雇用開発助成金:2022年12月02日から
本助成金の「成長分野等人材確保・育成コース」では
「採用」・「訓練」・「賃上げ」が要件
・就職が困難な方(未経験職種への転職を希望する方)を「採用」し
・「人材開発支援助成金」による「人材育成」を行い
・支給要件となる「賃上げ」を行った場合に
特定求職者雇用開発助成金の他のコースより高額の
助成金を支給する旨の改定が行われています。
なお「成長分野人材確保・育成コース」とは、
デジタル・グリーン分野及びこれに関連する分野の業務に従事させる事業主に対し、
既存コースの1 .5倍を助成する高額助成コースとして、
令和4(2022)年4月に新設されたコースです。
図表出典:厚生労働省 リーフレット
特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)拡充のお知らせ
【関連コラム】
(6) 産業雇用安定助成金:2022年12月02日から
本助成金では「スキルアップ支援コース」を創設
「在籍型出向」により労働者のスキルアップを行い、
出向から復帰した際の賃金を「出向前と比較して5%以上上昇」させた事業主(出向元)に対し、
当該事業主が負担した出向中の賃金の一部を助成するものです。
図表出典:厚生労働省 リーフレット
「産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)リーフレット」(令和4年12月2日)
(7) 労働移動支援助成金:2022年12月02日から
本助成金では「早期雇入れ支援コース」について、
"より高い賃金で雇い入れた事業主"に、助成額を加算する改正が行われています。
図表出典:厚生労働省 リーフレット
「労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)」のご案内(令和4年12月2日)
(8) 中途採用等支援助成金:2022年12月02日から
本助成金は、
・中途採用者の雇用管理制度を整備した上で
・中途採用の拡大を図る事業主
に対して助成する制度
今回の改正では、
45歳以上の賃金を前職より引き上げる中途採用を推進するため、
助成対象や助成額の見直しが行われています。
従前A・B・Cに区分されていた助成対象を、
A・Bの区分に統合
「B 45歳以上の中途採用率の拡大」について
助成要件の見直しとともに、
助成額の引上げ(100万円)が行われています。

図表出典:厚生労働省 リーフレット
中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)の助成対象・助成額の見直しを行いました
(9) 産業保健関係助成金:時期未定(※2022.12.17現在)
本助成金は「団体経由産業保健活動推進助成金」への仕組みの見直しとともに、
下記、産業保健関係助成金の廃止がアナウンスされています。
(廃止となる助成金メニュー)
・小規模事業場産業医活動助成金
・ストレスチェック助成金
・職場環境改善計画助成金
・心の健康づくり計画助成金
・治療と仕事の両立支援助成金
・副業・兼業労働者の健康診断助成金
・事業場における労働者の健康保持増進計画助成金
以上、概要をお伝え致しました。
本コラムでご紹介した各助成金制度の詳細は、
下記 【出典・引用】の各URLからご確認ください。