「3年 3割」ともいわれる
新卒採用者の離職率
いかにして"辞めない新入社員"を
確保するかは新卒採用の重要な課題です。
2021年3月25日
公益社団法人 全国求人情報協会は、
2020年卒新卒者を対象とした就業意識など
実態調査の結果をリリースしました。
今回の連載コラム、
公開された報告書の概要とともに
新卒採用の求人情報の伝え方を検証します。
※以下の資料は、公益社団法人 全国求人情報協会
ホームページリリース資料から引用します。
全国求人情報協会「2020年卒新卒者の入社後追跡調査」の概要
今般ご紹介する調査は
「2020年卒新卒者の入社後追跡調査」
公益社団法人 全国求人情報協会が
2020年卒新卒者を対象に
入社前調査(2020年3月)および
入社後調査(入社後約半年:2020年10月〜11月)を実施、
新卒者の入社前および入社後約半年の就業意識の実態をまとめたレポート
入社前の就職意識について「転職志向」・「勤続志向」に区分、
入社後の就業意識の変化などの追跡調査も行っています。
※用語の定義
「転職志向」: 「転職することも視野に入れている」・ 「すぐに転職したいと思っている」
「勤続志向」: 「今の企業・団体でずっと仕事を続けたい」 ・「当面は今の企業・団体等で仕事を続けたい」
今回公表されたレポート、
概要は以下の通りです。
■ 入社前志望度と勤続志向
入社予定の企業・団体等への就職活動開始当初の志望度と、
その企業・団体等への入社前の就業意識の相関
「当初から第1志望(群)だった」学生の勤続志向:84.9%
「第1志望(群)ではないが、当初から志望していた 」学生の勤続志向:79.0%
「当初はまったく志望していなかった」学生の勤続志向:70.7%
当初は志望していなかかった企業においても
就活の選考・内定獲得のプロセスを通じて
「今の企業で仕事を続けたい:勤続志向」が醸成されている
そんな心境の変化がうかがえる結果が報告されています。
■ 「勤続志向」を持って入社した新卒者が知り得た求人情報
この調査項目の設定は
・就活当初はまったく志望していなかった企業・団体等に入社予定
・入社前に勤続志向であった就活生が
・就活を通して知ることができた企業・団体等の情報
「当初はまったく志望していなかった:勤続志向の学生」が
就活を通して知ることができた情報の傾向分析です。
「勤続志向の学生」
「転職志向の学生」と比べ特徴的な情報の上位は
「具体的な仕事内容」:62.1%
「組織風土」:38.6%
「従業員構成の男女比・内訳」:31.7%
「勤務地」:61.9%
「採用時の具体的給与・賞与額」:43.0%
「有給休暇日数と取得状況」:41.7%
ちなみに
「転職志向の学生」
「勤続志向の学生」と対比で特徴的な求人情報は
「内定までの選考プロセス」:55.4%
「事業内容や商品・サービスの特性」:46.6%
「事業の安定性・将来性」:47.1%
"将来の志向を見据えた会社選び"の傾向が
うかがえる結果となっています。
■ 入社後の「適職意識」勤続志向をキープする組織風土
本調査でいう「適職意識」とは、
「自分はこの会社で仕事をするのに向いていそうだと感じた」意識
レポートでは、この「適職意識を醸成すること」が
入社後も勤続志向を持ち続けたり、
入社後に勤続志向に転じたりすることにつながると
分析しています。
入社後に感じた組織風土と適職意識の相関
「適職意識」を感じる組織風土の上位は
「互いに助け合う雰囲気がある」:54.7%
「将来の仕事について相談できる機会がある」:50.5%
「先輩が後輩を指導する雰囲気がある」:50.0%
「若手社員も希望すれば異動できる仕組みがある」:49.4%
反面、
「一人一人が独立して行う仕事が多い」 は、37.0%
「いつも納期や締め切りに追われている」は、32.6%
いきなり仕事を任させる不安やプレッシャーが
「適職意識」に与える影響もうかがえます。
※以上、ここまでの図表出典:
公益社団法人 全国求人情報協会「2020年卒新卒者の入社後追跡調査」
欲しい人材に響く! 求人票の書き方( 就活生の"勤続志向"をグレードアップする求人情報の伝え方 )
上記でご紹介した
「"勤続志向"を持って入社した新卒者が知り得た求人情報」
これを視点を変えて捉えると
「ノーマークだった企業の志望度を一気に上げる求人情報」
「勤続志向の学生が知りたい、興味・関心がある求人情報」
と言えます。
そして、
「当初はまったく志望していなかった企業」に対する
入社前"勤続志向"が7割を超えていた調査結果は
求人情報の使え方次第で
就活生の第一志望群にない企業でも
採用チャンスが十分あることをも示唆しています。
今回ご紹介したレポートでは、
「調査から見えてきたこと」で総括していますが
就活生に向けた求人情報は、
給与・有給休暇などの労働条件アピールだけを
重視するのではなく
・具体的な仕事内容
・勤務地などの就業条件
・組織風土の会社情報
などの事柄も、
わかりやすく・ていねいに伝えておきたいところです。
ですが、ここで大切なことは
「わかりやすさ・ていねいさ」の目線の置き方です。
2012年(平成24年)以来、
本連載コラム・求人票セミナーなどで
繰り返しお伝えしていますが、
「求人とは、集客。」
「求人票も、広告。」です。
広告である以上、
意識すべきは"読み手の目線"です。
ていねいで良かれと思っても
「企業目線で書かれたていねいさ」は
必ずしも、読み手のニーズに応えたコピーではありません。
反面、わかりやすさで良かれと思っても
その求人コピーが
「具体的な業務内容が見えない仕事情報」
「リアリティが感じられない職場情報」
「企業側の自画自賛な圧が強い会社情報」
であれば、
これももまた、欲しい人材を引き寄せない
読み手のニーズに応えたコピーではありません。
求人票も書き方次第
求人情報も伝え方次第
就活生が求める情報、興味・関心がある情報は
その時代の空気感でも変わります。
流行り廃りやトレンドに安易に流されることなく
的を射た的確な表現・言葉で紡いだ自社の魅力を伝える求人コピー
「なぜ、この表現・言葉を今、使いたいのか・使うのか」
「この表現は、今の自社の魅力を的確に伝えているのか」
・就活生の志向・自社が求める人材像を分析・検証
▽
・自社の採用ページや求人票の求人情報の振り返り
▽
・適切・的確な求人コピーに適宜アップデート
その一連のサイクルは広報・広告のそれと、本質は同じです。
みなさんは、まだ見ぬ"欲しい人材"に
どんな言葉で・なにを・どう伝えますか?
【関連コラム】
【10/30公表】H29年3月 大卒就職者の"3年以内離職率" 前年より悪化
【出典・引用】
公益社団法人全国求人情報協会 2021.03.25
2020年卒 新卒者の入社後追跡調査、テレワーク実態調査をリリースしました
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https://www.zenkyukyo.or.jp/2020shinsotsu_tsuiseki/
公益社団法人全国求人情報協会ホームページ
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https://www.zenkyukyo.or.jp/
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
みなさまのご参考となれば幸いです。