今般ご紹介する白書データは
「欠員率と充足率の推移」
以下の分析データが公表されています。
■ 欠員率の状況
「欠員率」とは、常用労働者数に対する未充足求人数の割合をいいます
白書では、以下の分析コメントを掲載しています。
◆長期的推移
・5~6%程度で推移した1973年やバブル期1990~1991年に比べ、2023年には3%弱
・4年間で4%ポイントほど上昇した1987~1991年に対し、
2009~2019年の10年間では2%ポイント程度の緩やかな伸び幅
◆企業規模別欠員率(バブル期の1990年と2003年との比較)
・全ての企業規模において、フルタイム・パートタイム労働者ともに1990年の水準を下回る
・フルタイム労働者では、小さい規模の企業において1990年の水準を大きく下回っている
以上の欠員率の推移・状況について、白書では
「中小企業を中心に人手不足感のある企業は多いものの、
現在よりもバブル期の方が厳しい人手不足の状況にあったことが分かる」と
総括しています。
■ 充足率の推移
「充足率」とは、新規求人に占める就職件数の割合をいいます。
白書では、以下の分析コメントを掲載しています。
・過去の局面と比較しても、特に2010年代以降では長期にわたり低下
・フルタイム求人は、2009年をピークに、その後大きく低下、
2023年には10%程度と、この半世紀で最低水準。
白書では、欠員率の推移と充足率の推移の傾向・特徴を
・1990年代と比較しても、短期での離職を防ぎ、欠員の総数は減らす一方、
生じている欠員の求人を充足することが困難となっていることがうかがえる。
と分析し
・企業の中核的人材であることが想定されるフルタイム労働者は、
採用活動も長期化しやすい可能性があり、企業は欠員率以上に
人手不足を強く実感しているものと考えられる
・2010年代から現在まで続く人手不足は「短期かつ流動的」で
あった過去の局面と比べ「長期かつ粘着的」
・欠員率が示す程度以上に深刻となっている可能性がある
と結んでいます。