「2021年度版 ものづくり白書」
2021年5月28日 閣議決定を経て、
経済産業省・厚生労働省ホームページに
ニュースリリースされました。
経済産業省の報道発表にもあるように
「ニューノーマル」に突入した
製造業を取り巻く環境の急速な変化
本白書では、
ものづくり企業におけるデジタル技術の活用と
人材育成に向けた取り組みなども紹介されています。
今回のコラム、ものづくり白書から
「製造業が抱える経営課題」と
中心にピックアップ
求人票の書き方も検証します。
※以下の資料は、経済産業省ホームページ
公開資料から引用します。
「2021年版ものづくり白書」ものづくり企業の経営課題・ものづくり人材の動向
■ ものづくり企業が現在抱える経営課題
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う
デジタル化等の進展や労働市場の不確実性の高まり、
人生100年時代の到来による労働者の職業人生の長期化等、
労働者を取り巻く環境は変化の時を迎えている。
「2021年版ものづくり白書」で、こうコメントしている経営環境の変化
白書では、先の連載コラムでご紹介した
JILPTの調査データから"今ここの経営課題"に
ついて以下の結果が報告されています。
・人材育成・能力開発が進まない
活用企業:44.6% 未活用企業:47.2%
・人手不足
活用企業:31.6% 未活用企業:35.3%
・価格競争の激化
活用企業:33.9% 未活用企業:28.0%
・売上不振
活用企業:30.9% 未活用企業:47.2%
デジタル技術活用企業・未活用企業の区分で
集計していますが、いずれの区分でも
人材に関する課題が上位となっています。
本白書では、ものづくり産業(製造業)の
「就業者数の動向及び就業者の構成」に
関するデータも報告されています。
34歳以下"若年就業者"の推移については
2002年の384万人から259万人まで減少
34歳以下の就業割合を俯瞰すると
全産業:24.9% 製造業:24.8% 非製造業:24.9%
と業種・業界に関わらない若年人材確保の課題が
垣間見える結果が報告されています。
■ 自己啓発支援・環境整備 ものづくり人材の育成・能力開発への取組み
ものづくり人材の育成・能力開発を目的とした
「自己啓発活動の支援」
「受講料などの金銭的支援」は
活用企業:84.8% 未活用企業:78.8%
「資格等を取得した際の手当や一時金の支給」は
活用企業:56.3% 未活用企業:39.6%
白書でもコメントしていますが
「金銭面での支援が上位」が特徴的な結果となっています
そして、
人材育成・能力開発のための「環境整備」に
ついては、以下が報告されています。
全体的に「デジタル技術活用企業」での
積極的な取組みが伺えますが、
・改善提案、QCサークルの奨励
・技術関連手当の充実、顕彰・報奨
・実力・能力評価による適切な処遇、社内検定
・育成計画、技能マップ、チュータ・メンター制度
など、各社各様の整備施策が伺える結果となっています。
「2021年版 ものづくり白書」
詳細は、下記【出典・引用】各URLからご確認ください
【出典・引用】
経済産業省ホームページ 2021.05.28
「令和2年度ものづくり基盤技術の振興施策」(ものづくり白書)を取りまとめました
▽
https://www.meti.go.jp/press/2021/05/20210528002/20210528002.html
厚生労働省ホームページ 2021.05.28
「令和2年度ものづくり基盤技術の振興施策」(ものづくり白書)を本日閣議決定
▽
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/newpage_18886.html
【関連コラム】
ものづくり産業 DX人材の確保 企業が求める人材像と求人票の書き方【求人票の書き方 #18-2021】
欲しい人材に響く! 求人票の書き方( 人材育成と能力開発 求人票の書き方 )
今回のコラムでご紹介した、
ものづくり産業が抱える
人手不足と人材育成・能力開発の経営課題
若年就業者減少の推移と相俟って、
いかに求人募集して人材確保に繋げるかは
課題解決の重要なファクターです。
2012年(平成24年)以来、
本連載コラム・求人票セミナーなどで
繰り返しお伝えしていることは
「求人とは、集客。」
「求人票も、広告。」
▽
「求人票とは、面接の場に応募者を
集客するための情報発信ツール」
という視点と考え方です
その広告のターゲットとは
「仕事を探しているみなさん」です。
最近ネットの求人票関連コンテンツでは
「求人票では『仕事の内容』が注目されますから、
しっかり書いてアピールしましょう」
などの"書き方ノウハウ"をみかけますが
求人票が"仕事を探している求職者"に向けた
企業からの情報発信(=広告)であるならば
「仕事内容をしっかり書いて伝える」ことは、
広告の読み手である求職者に対して
そして、どんなに煌びやかなキャッチコピーを
並べ立てて読み手をフックしたとしても
「なんの仕事かよくわからない求人票」では
"結果スルー"となる可能性が大
「応募者を集客する」求人広告本来の
目的・成果には繋がりません。
求人票も広告である以上、書き方コンテンツで語られる
"ちょっとしたコツやテクニック"以前に忘れてはならないことは
「自社の求人ターゲットの興味・関心はどこにあるか」の
検証・検討です。
就活や転職経験のあるみなさんであれば
ご理解頂けるかと存じますが
「就職先・転職先選び」の基準・関心事は
仕事の内容や給料・待遇面だけではないはずです。
仕事の内容・給与などの待遇がほぼ同じ求人が競合した場合、
読み手である求職者が応募先を選定する判断の拠り所はどこに...
それは、
同種の商品・サービスが同価格で競合した場合の
顧客の選択心理と同じはずです。
その中でも若年層人材の仕事選びで
重要な興味・関心事のひとつとして挙げられるのは
「求人企業の人材育成・能力開発の取組み」
「今度の会社では永く勤めたい」ことを念頭に、
求人情報をリサーチしているならば
・この会社で、どんなキャリア形成ができるか
・この会社は、どんな人材育成制度があるのか
などは、知りたい情報であろうことは想像に難くありません。
求人票・採用ページに
「当社は人材育成に力を入れています」と書くよりも
たとえば今般データでご紹介した、自己啓発支援・環境整備の取組みを
具体的な言葉にして伝えるほうが、より読み手に響く内容となることは
ここで文例を挙げるまでもなく、ご理解頂けようかと存じます。
求人相談・コンサルの現場では、
人材育成・職場環境に関する取り組みについて、
クライアント様が些細なことと思われることまでも
詳しくヒアリングして、その場で求人コピー案の
フィードバック・提案をしていますが
その目的は、情報素材の選定と発信する言葉の吟味
「他社に優位に立てる差異を見つける」ためではなく
「自社が求職者に伝えたいことを見つける」ため
広告コピーライティングの世界でもよくあることですが
「自社が当たり前にやっていること」が実は、
「読み手が驚くようなスゴいこと」だったことは
求人票・求人コンテンツでも同じこと
そして、
「伝えなければ、伝わらない」こともまた、
広告のそれとなんら変わるところはありません。
【関連コラム】
2020年版ものづくり白書にみる製造業の求人戦略(欲しい人材と解消策)【求人票の書き方 #33-2020】
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
みなさまのご参考となれば幸いです。