今日、関西は台風が上陸する動きで、大雨暴風洪水警報が各地で発令されています。
6月の台風上陸は8年ぶりだそうです。
このような事態となった場合、会社として、社員のみなさんの安全を確保するために、
帰宅指示を出す場合があります。
その際に、給与の支払いをどうするか???という課題が出てきます。
労働基準法の規定は???
労働基準法26条によれば、
「使用者の責に帰すべき事由による休業」として
① 「平均賃金」の
② 「100分の60以上」の
③ 「休業手当」を
支払うことと規定されています。
※この規定。”天災事変等不可抗力”による場合の例外がありますが、
以下のお話はこの例外が適用されないものとして進めます。
さて、この「休業手当」ですが、思わぬ誤解をされてしまうことが時としてあります。
わかりやすく説明するために、このような例を設定してお話します。
(例)
パート社員
・ 時給 : 1,000円(諸手当なし)
・ 就業時間 : 9時から18時(お昼休み:12時から13時の1時間)
実労働時間 8時間
・ 平均賃金 : 8,000円
※平均賃金の計算方法は、別途規定されていますが、ここでは、
例として8,000円とします。
・ 4時間(14時以降)休業
14時まで通常勤務していましたが、台風が接近して警報が出たので、
危ないので帰宅してもらったという場面設定です。
さて、休業手当はどうなるのでしょうか???
この場合には、会社として、「休業手当」の支払い対象を検討することになるのですが、
いくらを支払うこととなるのでしょうか???
シンプルに「14時から18時の4時間分の100分の60」
ということになるのでしょうか???
この考え方ですと、休業手当は、
1,000円×4時間×60%=2,400円ということになりますが。。。
労基法・行政通達に則った実務での計算は
1日の「所定労働時間の一部のみ使用者の責に帰すべき事由による休業」
がなされた場合
1.”実際の就労時間(例では4時間)に対して支払われる賃金”
が、
2.”平均賃金の100分の60に相当する金額に満たないとき”
のみ、
3.”その差額”を支払わなければなりません。
となります。
上記の例にあてはめてみますと。
1. 実際の就労時間に対して支払われる賃金
1、000円 × 4h = 4,000円
2. 平均賃金の100分の60
8,000円 × 60% = 4,800円
3. 差額支払いが必要な休業手当
1.の4,000円 < 2.の4,800円 となりますから
4,800円 − 4,000円 = 800円 となります。
となります。
では、15時に帰宅してもらった場合はどうなるのでしょうか?
就労時間は1時間延びて5時間になります。
1. 実際の就労時間に対して支払われる賃金
1、000円 × 5h = 5,000円
2. 平均賃金の100分の60
8,000円 × 60% = 4,800円
3. 差額支払いが必要な休業手当
1.の5,000円 > 2.の4,800円 となりますから
「差額支払いなし」という結論になります。
以上、ご説明した内容は、
労基法・行政通達に則った実務での計算方法です。
この水準を超える処遇の取り決めなどは、
各社でご検討頂ければと存じます。
また、「危機管理」の観点から混乱を避けるためにも、
あらかじめご検討・周知徹底されるのも一案かと思います。
※当該計算方法・取り扱いにつきましては、
労働基準監督署に取材確認のうえ、
コラム掲載しておりますが、
個別・具体的な事案への適用等につきましては、
適宜、管轄労働基準監督署等にご確認ください。
【参考文献】
大阪労働局ホームページ 労働基準関係法令のあらまし
▽
https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_keiyaku/hourei_seido/_122090.html
【労働基準関係法令のあらまし】(平成31年3月作成)※PDF
※「13 休業手当(第26条)」等でご確認ください
▽
https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/content/contents/201903061020_1.pdf
「労働基準法ワンポイント解説(平均賃金)
▽
https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/var/rev0/0109/4772/280823-1.pdf
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