【連載コラム:求人票の書き方 #18-2020】
求人/採用戦略でよく語られる
「求める人材像/欲しい人材像の明確化」
実際に作業をしてみると
採用したい求める人材の
「細かな仕事内容」や
「スキル・知識などの能力」を
数値や言語で明確にすることは
とても難度が高い作業です。
2020年3月19日 厚生労働省は、
企業の人材採用支援機能を含むサイト
「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」
の運用を開始しました。
このサイトのツールを活用すれば
たった3つのステップで簡単に
「求める人材の要件」をシートに
落とし込むことができます。
今回のコラム、
サイト・ツールのご紹介とともに
求人票の書き方を検証します。
※以下の資料は、厚生労働省ホームページ等で
公開されている資料より引用します。
3月19日運用開始 厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」とは
「O-NET」とは「OCCUPATIONAL INFORMATION NETWORK」の略称
米国労働省が1998年から公開している
職業情報データベース(O*NET)の日本版として
職業情報を「見える化」し、求職者等の就職活動や
企業の採用活動等を支援する"職業情報提供サイト"です。
日本版O-NETでは、約500の職業情報を
・「ジョブ」:職業、仕事
・「タスク」:仕事の内容を細かく分解したもの・作業
・「スキル」:仕事をするのに必要な技術・技能
等の観点から分析し、労働市場の共通言語・共通基準としてデータベース化
【企業向けメニュー】として、
2つの機能と支援ツールが用意されています。
■ 人材採用支援機能
求める人材の詳細なタスク(職業に含まれるこまかな仕事内容)・
スキル等の情報を盛り込んだ「職務要件シート」を作成する機能
採用したい人材の細かな仕事内容・能力を実施率・レベルなどの
数値も駆使し可視化・明確化。企業の人材採用をサポートします。
■ 人材活用シミュレーション機能
企業内の教育訓練・人材育成に際して、必要なスキル・知識等を
明らかにすることができる機能
現状の人材と将来あるべき人材の姿を客観的に比較でき、
企業の人材の配置、教育訓練などの検討をサポートします。
このうち、
人材採用支援機能の支援ツール「職務要件シート」は
求める人材の職務要件(仕事内容、必要なスキルや知識等)を
約500の職業情報を基に明確化。
STEP.1からSTEP.3を順に
実質2ステップの簡単な項目選択と設定で
「求める人材の職務要件を明確化・可視化」できるツールです。
以下各ステップの概要を、「社会保険労務士」で
シミュレーションした結果も交えご紹介します。
◆ STEP.1 求める人材に近い職業を選択
このステップでは、求める人材に近い職業を
「職業検索」から選択します。
複数の職業を選択・設定することも可能です。
※操作シミュレーション結果
「社会保険労務士」を選択して操作してみましたが、
「職業分類検索」の「社会保険労務士」をチェックすると
更に「社会保険労務士」と「人事コンサルタント」の
選択・設定が可能でした。
◆ STEP.2 職務要件を設定
このステップでは、STEP.1で設定した「職業」を基に
職務要件を設定することになりますが、
一から入力が必要な項目は、「職務要件シート」に
表示する「職業名」・「仕事内容」や「学歴」など
関連資格は、職業情報データベースからプリセット
選択した職業に含まれるこまかな仕事(タスク)も
選択した職業情報から「実施率・タスク内容」が
表示されています。
「職務要件シート」に反映させる自社のタスクの選択は
チェックマークを外すだけ。
「編集する」ボタンをクリックすれば「タスク内容」も
簡単にカスタマイズできます。
※タスク表示 操作シミュレーション結果
「社会保険労務士」では
・依頼を受け労働保険・社会保険諸法令の各種書類を作成(実施率79.4%)
「人事コンサルタント」では
・顧客となりそうな会社で、ニーズや問題点を聞き取る(実施率66.0%)
などのタスクが実施率のグラフと一緒に表示されていました。
このほかに「仕事能力プロフィール」として
■ スキル:読解力・傾聴力・説得・交渉などの指標
■ 知識:ビジネスと経営・事務処理などの指標
■ 興味:現実的・研究的・社会的などの指標
■ 仕事価値観:達成感・自立性・良好な対人関係などの指標
■ 仕事の性質:他者とのかかわり・意思決定の自由などの指標
以上5つのプロフィールが
選択した職業に応じ1〜7の7段階で数値化
グラフで可視化して表示されます。
◆ STEP.3 職務要件シート
STEP.1とSTEP.2で選択・カスタマイズした内容の表示・確認ステップ
修正がなければデータ保存や、Excelファイル形式に編集された
「職務要件シート」としてダウンロードも可能です。
求人ノウハウ・求人戦略としてよく語られる
「求める人材像や人材要件の明確化」
・職業に含まれるこまかな仕事の内容(タスク)
・スキル、知識、興味、仕事価値観、仕事の性質などの能力プロフィール
などはその重要な要素です。
ですが、実際に作業をしてみると、
時間もかかり、難度も高いのが
これら要素の分析や見える化・言語化です。
豊富な職業情報データベースからの自動生成で
簡単に「職務要件シート」ができるこの支援ツール
自社の求人戦略の企画・立案にご活用ください。
【出典・引用】
厚生労働省ホームページ 2020.03.18報道発表
「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」を3月19日に開設します
▽
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10257.html
厚生労働省職業情報提供サイト(日本版O-NET)
▽
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/
「操作・活用マニュアル」は提供サイトの
「利用方法」からDLできます。
▽
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/howto
欲しい人材に響く! 求人票の書き方(求める人材像と「仕事内容」書き方のヒント)
「人材像の明確化と求人票」
人材像の明確化が求人採用の戦略ならば
求職者に自社の求人に応募してもらうには
そこから先の戦術(求人票の書き方)が大切です。
2012年(平成24年)以来、
本連載コラム・求人票セミナーなどで
お伝えしている通り
「求人とは、集客。」
「求人票も、広告。」です。
広告である以上は、
「伝えたい相手に読んでもらう」
「伝えたい相手に興味を持ってもらう」
「伝えたい相手に行動(応募)してもらう」
ことが書き方・伝え方の大切な視点
「仕事の内容は求職者が一番注目する項目です!」
そんな記事はよく見かけますが
そうであるならば、
・なぜ求職者が注目するのか?
・仕事のなにに注目するのか?
そんな求職者目線で自社の求人内容を検証して
想定する求める人材(伝えたい相手)の
興味・関心・ニーズに応える情報を
的確にわかりやすく伝えておきたいところです。
仕事内容の書き方・伝え方のポイントは、
自社が求人募集する
"職種"に含まれるニュアンス、つまり
「こまかな仕事の内容」をいかに伝えるかです。
そこが曖昧・誤解を招くような表現だと
ミスマッチや思わぬトラブルの火種にもなりかねません。
今回のコラムでご紹介した
採用支援ツール「職務要件シート」
そこに言語化されアウトプットされた
タスク内容は、見方を変えれば
求人票「仕事内容」欄の素材です。
ハローワーク新求人票では最大360文字
そのサイズ感にフイットするように
加工・編集すれば"叩き台"として活用可能です。
【参考事例】
さきほどのタスク表示の操作シミュレーション結果を素材にすると
「社会保険労務士」の
・依頼を受け労働保険・社会保険諸法令の各種書類を作成(実施率79.4%)は
▽
「労働・社会保険諸法令に関する各種書類の作成・提出代行」(26文字)「人事コンサルタント」の
・顧客となりそうな会社で、ニーズや問題点を聞き取る(実施率66.0%)は
▽
「見込み客を訪問、ニーズや問題点をヒアリングします。」(25文字)
などの求人票フレーズに書き起こすことができます。
そう考えると「能力プロフィール」も
言語化された内容も素材として捉えれば
「事業所メッセージ」欄
「求人に関する特記事項」欄
などにも転用が可能です。
求人情報も伝え方次第。
求人票も書き方次第。
そして、
勝負どころは柔軟な発想、
アイデアとセンスです。
みなさんは、求人票で
だれに・なにを・どう伝えますか?
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
みなさまのご参考になれば幸いです。
※本コラムは、各メディア情報等取材した内容を基に、
コラム記事として掲載しています。